雪虫のお尻

せいこ

2012年12月16日 00:34


今日の夕刻前、びわ湖っぺりでは雪虫がふわりふわり。
アブラムシだと思うとちょいと気持ち悪いけど・・・
雪虫は選ばれしアブラムシ。

以前『雪虫』について書きましたが、もう少しわかったことがあります♪

興味のある方はお読み下さい



アブラムシは単為生殖によって繁殖する生き物。
聖母マリアから処女懐胎によって誕生したとされている、イエス・キリストのように、アブラムシは交尾しないで繁殖するのです。
冬が近づくころ、羽を持った成虫がうまれるのだそうです。
これが雪虫。
生まれる時期が、ちょうど初雪の頃になるのと、ふわふわ飛ぶ姿から雪虫って呼ばれているんですね。

何故この時期かというと、
冬を越すためには卵を産まなければなりません。
卵を産むには有性生殖。
と、いうことで・・・
雪虫が生まれるこの時期、同時にオスも生まれます。

こうしてラブラブになった雪虫とオスのアブラムシは恋をして・・・子孫を残すため交尾をし、
産卵のため生まれ育った巣を離れます。
その時に必要なのが、翅。
そのために翅をもって生まれたのです。

つまり、雪虫はすべてメスなんですね。

彼女たちが目指すのは、ヤチダモの木。
ヤチダモは、木が苦手とする湿地でも生きていける強い木なのだそうです。

雪虫はふわふわ飛んでいるだけではなく、目的地があったんですね。
ヤチダモの木にたどりつくと、十匹ほどの子供を産みます。
卵ではなく、子どもを産むのです!

幼虫を産んだら死ぬのだそうです・・・
生まれてから産んで死ぬまで、一週間ほど。。。

雪虫の思いを受け継いだ幼虫。
大きさは1ミリほど。
ちゃんとオスもメスもいます。
色はオスもメスも緑色がかった半透明ですが、メスは腹部のほとんどをオレンジ色の卵が占めているので、オレンジ色に見えるようです。
メスがオスよりも大きいのは卵のせいでしょうか。

幼虫たちは数回脱皮をおこない、交尾をした後、メスは卵をひとつだけ産んで死にます。
口が退化している彼らは何も食べません。食べられません。
最後まで翅をもたず、色も形もほとんど変わらないままに生涯を終えます。
彼らもまた、生まれてから産むまでの期間は、わずか一週間ほど。

ヤチダモの木にひとつだけ産み付けられた卵は、卵のまま越冬します。
春に孵化し、五月頃には成虫になりますが、彼らに翅はありません。
成虫になった彼らは、単為生殖によって親と全く同じ遺伝子を持った多くの子どもを産みます。
この時の子どもは全てメス。
産むというより、生産するって感じですね・・・

雪虫からオスが産まれるのは、ヤチダモの木で産まれる有性生殖の世代だけ。
それ以外は単為生殖によって命を引き継いでいるのです。

ヤチダモの子どもたちはどうなったかというと
脱皮を繰り返し、初夏の脱皮でついに翅の生えた成虫となります。

翅があるということは・・・
移動です。

今度はトドマツへ移動します。
このときは白くないような気がします。
だから冬の入口に飛ぶ雪虫みたいに目立たないのかな?

トドマツにたどりついた成虫は・・・
ヤチダモにたどりついた時と同じく、子供を産んで死んでしまいます。
ヤチダモの時と違うところは、ここでの子供はすべてメスだというところでしょうか。

雪虫はトドマツの根で暮らします。
暮らすというか・・
そこで産んでは死に、産まれた子どもがまた産んで死にと、世代交代を繰り返します。

雪虫の正式な名前が『トドノネオオワタムシ』というのは、トドマツの根で暮らすオオワタムシだからなんですね(^^;


雪虫くん、なんぼ思てもアブラムシには見えません
お尻のふわふわの綿毛がかわいい

しかーし、捕まえるのはちょっとまって。
雪虫はヒトの体温でも弱るほど熱に弱い虫。
雪虫が近づいてきても触れないようにしてあげましょう。

・・・でも、上手く飛べない彼女たちは、ふわ~っと風に飛ばされて、じっと座っているだけやのにくっついてしまうんです(><)

パンチをかわすように、さっと避けられるよう鍛えておこう(^^;

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